民泊新法の住宅宿泊管理業者として活動するためには国土交通大臣に登録の申請をしなければなりません。
今までは何も規制はなかったのに!という締め付けと感じる気持ちはあるかもしれませんが、ここはもう決まってしまったことですので受け入れるしかありません。
法律の制限がかかるということは、何かしらの条件をクリアしなければ登録できないということです。これを要件というのですが、管理業者の登録にも要件があります。
この要件をクリアしていなければ、どんなに素晴らしい仕事ぶりをアピールしても登録できません。登録の申請までたどり着けません。
書類選考みたいなものですね。
この記事では、住宅宿泊管理業者に登録するための要件について解説していきます。
ここでの内容に当てはまらないことを確認してから、申請書類の準備に入りましょう。
⇒あなたもできる!住宅宿泊管理業者の登録申請書類の書き方
要件は11個
11個というと、結構あるなという感じがしますでしょうか。
しかし繰り返しになってしまいますが、この中で1つでも当てはまっていれば登録できませんので、じっくり確認していきましょう。
①成年被後見人または被保佐人
成年被後見人または被保佐人とは、精神上の都合によって判断能力が低くなっている人のことです。例えば加齢や認知症のお年寄りをイメージしてもらえばいいと思います。
判断能力が低くなっている人にお金の計算や重要な不動産のことを任せることは危険ですよね。詐欺などに簡単に騙されてしまう可能性があるからです。
ですからこういった人達を守るために成年後見制度で、保護しているのです。
この保護を受けている人たちは、住宅宿泊管理業者になることはできません。
②破産者
破産者とは簡単には借金を返せなくて裁判所の力を借りて帳消しにした人です。すごい権利を使ったわけですから、資格や許可の申請などは制限されてしまいます。
この制度がないと次々に悪い事を考える人がいるので制限されているのです。
③管理業者の登録取り消し後、5年を経過しないもの
登録を取り消されるということはなにか違反をやったということです。またすぐに始めることはできませんということですね。
今回は皆さん全員が初めての登録ですのでここは関係ありません。
④刑罰等の執行後、5年を経過しないもの
これも③と似ています。犯罪を犯してからすぐには資格や許可はもらえないことが多いです。
⑤暴力団員等
反社会的勢力には厳しいです。
⑥住宅宿泊管理業に関して不正または不誠実な行為をするおそれがあると認めるに足りる相当の理由があるもの
後ろのほうが法律特有の回りくどくてわかりにくい表現になっていますが、簡単には悪い事した実績があり、また悪いことをしそうな人ということです。
ヤミ民泊業者が法の目をくぐって参入してくるのを防止する目的があります。
- 知事からの業務改善命令に違反して廃止命令を受け得てから3年を経過していないもの
- 旅館業法の罰金刑を処せられてから3年を経過していないもの
⑦未成年者で法定代理人が①から⑥のいずれかに該当するもの
未成年者は法定代理人をたてれば登録はできますが、その法定代理人が上記の①~⑥に該当してしまう人だとダメです。
⑧法人で、役員のうち①から⑥のいずれかに該当する者があるもの
法人の場合も役員のなかにを①~⑥に該当する人がいると認められません。
⑨暴力団員等がその事業活動を支配するもの
役員や代理人にはなってないとしても、反社会的勢力が関わっている事業はダメです。
⑩財産的基礎を有しないもの
ここは財産要件と言われます。
具体的にいくらの財産がなければならないとは決まっていませんが、借金のほうが多くて全然お金が無いというような状態は認められません。
- 負債の合計額が資産の合計額を超えないこと
- 支払不能に陥っていないこと
⑪住宅宿泊管理業を的確に遂行するための必要な体制が整備されていないもの
ちょっとカタイ言い回しですね。これだけでは到底意味がわかりませんので紐解いていきます。
まず「必要な体制」というのは㋐管理の責任や費用の負担などについて明らかにして、きちんと契約をする事が組織としてできるようになっていること、㋑管理業務が適切に行えるように人員・業務体制が整っているということ、の2つのことを言っています。
㋐について
- 住宅の取引・管理に関する契約の依頼者との調整
- 契約事項の説明
- 契約書の作成・交付
というような業務ができる人が必要になります。
つまり、次の資格をもっていること(法人の場合はその資格を持つものが社内にいること)が必要です、ということを言っています。
その資格とは、
- 上記の業務の実務経験が2年以上ある人
- 宅地建物取引士
- 賃貸不動産経営管理士
- 管理業務主任者
の4つのいずれかです。
法人の場合はこれらの資格を持っている人を雇うことで要件が満たせます。
⇒宅建とかの資格ないけど、民泊代行業者を続けられる?はい、大丈夫です。
㋑について
- 苦情等に対して24時間応答可能であること
- ICT等を使って遠隔で業務を行う場合にはそれが適正に実施できること
などが該当します。
つまり、⑪については資格者がいて、業務に必要な人員や体制が整えられるものでなければならないという事になります。
まとめ
いかがでしょうか。
①②以外は自ら進んで法を犯したりしなければ大丈夫な要件だと思います。もしも当てはまっているようでしたら、時間の経過を待つしかありません。
あと気になるのは⑪の資格ですね。リンク先の記事でも書いていますが、住宅宿泊管理業者の登録ができなくても業務の一部分を下請けとして受託することはできます。その間に資格の勉強をするのもいい方法だと思いますよ。
是非参考にして下さい。