民泊と法律|建築基準法が規定する用途変更の100㎡の壁とは

民泊を始めるためには泊まってもらうための施設・部屋がもちろん必要ですが、それを選んでしまう前にまず、様々な法律関係をクリアしなければなりません。

また、この知識が無いまま焦って進めてしまうと、せっかく購入した建物がつかえなかった。。。なんてことになってしまうかもしれません。

とはいえ、狙い目の繁忙期もあることですから、のんびりはしていられないですよね。できれば少しでも早く運営を開始したい!という気持ちはほとんどの皆さんがお持ちだと思います。

そこで、この記事では民泊を始めるまでの費用と時間の大きな障壁である、「100㎡の壁・用途変更」について解説していきます。

この100㎡の壁にかからないようにすれば、費用と時間をおさえて民泊を始めることができます。

ご注意!
ややこしいのですが、この記事でテーマにしている「100㎡の壁・用途変更」は旅館業許可を取得する場合に関係します。住宅宿泊業法(民泊新法)の届出住宅の場合には必要ありません。
また、今後建築基準法改正により、100㎡から200㎡に規制緩和の予定があります。
目次

「100㎡の壁」とは

100平米の壁とも呼ばれますが、意味は同じです。

もちろん、実際に建っている壁の大きさのことを言っているのではなく、許可をとるために越えなければならない問題のことです。

民泊の施設として使う床面積の合計が100㎡を超えていると、建築基準法の規定により「用途変更の確認申請」という手続を行わなければならなくなります。

これが大変に時間とお金のかかる手続きなので「100㎡の壁」と呼ばれています。

確認申請が必要となった場合には、以前の建築基準から現在の建築基準法にのっとった建物に改装をする必要があります。これが大規模な改装になればなるほど時間とお金がかかります。改装だけで、数百万円から一千万円を超えることもあるでしょう。

また、申請には多くの書類・図面が必要になります。自治体によって要求されるものが異なりますが、
一例では

  • 付近見取図
  • 配置図
  • 各階平面図
  • 床面積求積図
  • 2面以上の立面図
  • 2面以上の断面図
  • 地盤面算定表
  • 基礎伏図
  • 各階床伏図
  • 小屋伏図
  • 構造詳細図

となります。非常に専門的な書類ですので、これらを作成してもらうのにも費用と時間がかかります。

 

用途変更=建物の使いみちの変更

それでは確認申請をする元となる「用途変更」とは何でしょう。

日本では、建物を建てる時には用途を定めなければいけません。用途(ようと)とは使いみちのことです。

用途変更を制限する意味

建物の用途とは例えば、一戸建ての住宅、店舗、ダンスホール、倉庫などがあります。一口に建物と言ってもこのように、それぞれ全く違った使いみちがあることがわかると思います。

住宅は住宅が集まった住宅街に、ダンスホールは賑やかなお店が集まった繁華街に、などのように同じ者同士が集まっている方が利便性があるのです。

例えば昨日まで普通の住宅だったのに、周辺何件かが突然ダンスホールになったらどうでしょう。騒音や治安面など、住民とのトラブルが起こりそうですよね。

このことから、建物の用途を変更することは法律により制限されています。自分の建物だからといって、勝手に工事して変えてはいけないのです。

 

住宅→ホテルまたは旅館に用途変更

以上のことを民泊に置き換えてみましょう。

民泊をするには簡易宿所の許可が必要です。
これは建物の用途としてはホテルまたは旅館ということになりますから、今まで住宅として使っていたものを用途変更をしてホテルまたは旅館にしなければなりません。

 

用途変更に確認申請が必要ないケース

ここで100㎡の登場です。先程も述べたとおり、民泊の用途につかう部分の床面積の合計が100㎡未満であれば確認申請をしなくても良いことになっています。

大変な手続をひとつ飛ばすことで費用と時間をおさえることが出来るのです。

ここで注意するべきは「民泊の用途に使う部分の」という文言です。
建物の床面積の合計が100㎡を超える場合でも、民泊に使わない部分を設けること(部屋を1つ塞いでしまうなど)で100㎡未満におさえる事ができます。

 

まとめ

用途変更をするには多くの費用と時間がかかります。

民泊をこれから始めたい人にとって、時間がかかるということは収入がないまま家賃を払い続けなければならないと言うことです。

誰でも初期投資は少なくしたいという思いはあるでしょう。

素敵な部屋にして、お客さんに満足してもらいたいという思いはあっても、なるべく最初はお金をかけずに始めたいのではないでしょうか。そんなときに100㎡の壁を超える方法は有効です。

用途変更にかかる費用は物件によって様々です。100万円単位で違ってくることもありますので、具体的に話がまとまってきたら必ず役所の建築課や、専門家である建築士に相談しましょう。

自己判断で取り返しのつかない失敗をしませんように。

 

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この記事を書いた人

夫婦で行政書士事務所を運営しています。
3児の父です。
家族を連れて、日本各地の民泊に泊まりに行きたいです。

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