民泊と法律|住宅宿泊事業法(民泊新法)をザックリ説明します。

いま、いろいろな話題で注目されている民泊。このページをみてくれたあなたもきっと、今後の動向に注目しているひとりですよね。

ご存知のことと思いますが、住宅宿泊事業法(民泊新法)が2017年6月に成立し、1年後の2018年6月から実際に適用(施行)されます。

今後は施行までの間に国によって具体的な基準が示されて、その基準にのっとって各都道府県や市町村で地域に沿った条例が検討されていく流れとなっています。

この記事では、住宅宿泊事業法(以下、わかりやすく民泊新法と呼ぶことにします)の概要について説明していきます。

 

目次

第3の民泊として期待されている

2017年9月現在、民泊を始めるには大きく分けると2つの方法があります。

  1. 旅館業の簡易宿所の許可をとる方法
  2. 国家戦略特区での民泊(東京都大田区、大阪府、大阪市、北九州市)

そしてこの「民泊新法での民泊」が3つ目の方法となります。

1.2の方法では、そもそも用途地域や特区の中に立地している建物でなければ全く関係のないお話でした。

新法が始まれば全国で解禁となり、誰でももっと手軽に民泊事業を始めることが出来ることになります。

今まで場所的に民泊を出来なかった一般国民だけでなく、不動産業界や旅行業界からも企業が熱視線を送っています。それだけ注目度が高いニュースなのです。

 

大きな制限

民泊新法の一番大きなポイントとしては、全国解禁となる一方で、営業日数の上限が設けられたことです。

最大で年間180日までの営業となっており、民泊参入を検討していた事業者からは不満の声が上がっています。

年間180日ということはほぼ1年の半分です。

仮に半年間毎日途切れることなくお客さんが来てくれたとしても、年間で考えれば稼働率50%ということになります。

ホテルや旅館は稼働率をあげることが命題ですので、これは非常に大きな制限と言えます。

 

ただし、あとで述べるホームステイ型の民泊を運営して、

  • 外国人を含む旅する人たちとコミュニケーションをとりたい
  • 地域の素晴らしさをアピールしたい
  • 私の美味しい料理を食べて欲しい

というように民泊を楽しむタイプの目的をお持ちの方には、稼働率自体があまり関係ないものとなると思いますので、届出だけで済む点も含めて民泊新法は使い勝手の良い制度ということになります。

反対に投資目的で民泊をやりたい方は、180日フル稼働を目指す他、残りの半分を賃貸などにうまく使えればビジネスとして成り立つ可能性はあります。

新しい制度ですから、ここはアイデア勝負ということになりますね。

 

3つの業者が設定されました。

民泊新法では今までは規定されていなかった、3者を住宅宿泊事業(民泊のこと)に関わるものとして新しく定めました。

その3者とは

  1. 住宅宿泊事業者
  2. 住宅宿泊管理業者
  3. 住宅宿泊仲介業者

の3業者です。

詳しく見ていきましょう。

 

1.住宅宿泊事業者

都道府県知事に届出をして住宅宿泊業(つまり民泊)を営む者です。旅館業の許可がなくても、届出ることで民泊を運営することができます。民泊の運営者はこの民泊新法に限らず、民泊ホストと呼ばれることも多いです。

2つの型

民泊ホストが提供する民泊サービスを2つの型に分類して規制をしています。

・家主居住型

ホームステイ型とも呼ばれ、その名の通り、ホストが家主として生活している住宅の一部を貸し出す形態です。
外国人とコミュニケーションを取りたい!といった目的の方はこちらのホームステイ型が目的に合致しています。
ホストが滞在していることから管理者への委託が必要ない反面、ホスト自身が本人確認や安全確保などの業務を行う必要があります。

・家主不在型

ホストがその家に住んでおらず、コミュニケーションよりも投資目的でその家や部屋を貸し出す形態です。
家主不在により、騒音などのご近所トラブルが起きやすいと考えられるため、次に説明する住宅宿泊管理業者に管理を委託しなければならないと決められています。
逆に言うとほとんどの管理を任せることで、コストはかかりますが手間をかけずに運営することができます。

家主不在型と家主居住型についてはコチラでくわしく解説しています。一読いただければ民泊新法について更に理解が深まる事をお約束します。
家主居住型?家主不在型?民泊のふたつのタイプを解説します

 

2.住宅宿泊管理業者

民泊の管理を代行する会社のことです。

家主不在型を運営する民泊ホストから委託を受け、報酬をもらって宿泊管理の業務を行います。

国土交通大臣の登録を受ける必要があります。また、5年ごとの更新があります。営業所には登録をしている証の標識を掲示しなければなりません。

この登録によって登録簿が一般に公開されるので、無登録でのヤミ運営代行会社はできないこととなっています。ヤミ運営ができてしまったら、いまのヤミ民泊が横行している現状と同じことになってしまいますからね。

 

3.住宅宿泊仲介業者

上記の民泊ホストと宿泊者(民泊ゲスト)を仲介する業者です。

インターネット上で民泊仲介サイトを運営しているAirbnbを代表とする企業のことを指します。観光庁長官の登録を受ける必要があります。こちらも5年ごとの更新があります。

世界的に展開する大手のAirbnbやHomeAwayといった海外勢が有名ですが、日本の企業も多数参入を準備しています。

今まではその登録の気軽さからヤミ民泊を助長してきた、悪の温床みたいな言われ方をしていたAirbnbですが、本当はそんなことはありません。
今では法律遵守を促していますし、そもそも仲介を運営しているだけなので、違法なことはしていません。また、新法の180日規制にも対応を検討していて、上限日数まで宿泊をした施設は表示がされなくなる仕組みになる方向です。

 

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。

民泊新法の要になる3者とは、ホスト、管理代行会社、仲介サイトです。それぞれが届出や登録をすることが決められ、安全面や衛生面、規約違反などについて行政に管理されることになります。

今のヤミ民泊は犯罪を考える人にとっては絶好の隠れ家とも言われています。

新法の考え方は窮屈だと感じる面もあるかもしれませんが、どこかで線を引いて、安全安心の仕組みをつくるための規制は受け入れるべきだと私は思います。

住宅宿泊事業法(民泊新法)は最近になってようやく施行時期が2018年6月からと決まりましたが、当初の見込みより遅くなりました。

法律成立から丸一年の期限ギリギリということは、まだまだ検討する時間が必要だとの判断が読み取れるといえるでしょう。

 

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この記事を書いた人

夫婦で行政書士事務所を運営しています。
3児の父です。
家族を連れて、日本各地の民泊に泊まりに行きたいです。

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