ヤミ民泊のトラブルと旅館業法の営業許可について知っておこう。

あなたはヤミ民泊という言葉を聞いたことがありますか。

民泊の楽しくて便利なイメージが表側だとすると、その裏側のネガティブな部分を話題にするときに使われるのがヤミ民泊という言葉です。

民泊の知名度が上がった今では、マスコミなどの情報から

  • 使わない部屋を利用してお小遣いを稼ぎたい
  • 地方の良さをもっと多くの人に伝えたい
  • 外国人と交流してみたい

というような理由で民泊をやってみようかな、と民泊運営に前向きに考えている人は多いのではないでしょうか。

確かにそういう素晴らしい部分はたくさんありますが、反面、まだネガティブな部分もたくさんあります。ヤフー知恵袋などで「民泊」で検索してみると、色々なトラブルで困っている人たちの声がズラリと並びます。

こんなトラブルを引き起こさないために、民泊について正しい知識をいれていただきたい。そしてあなたには堂々と運営していただきたいと思います。

このページでは、ヤミ民泊と旅館業の営業許可について詳しく説明していきたいと思います。

 

目次

ヤミ民泊と営業許可

2017年9月現在で、民泊を運営するには通常、旅館業法の許可が必要です。(特区での民泊、イベント民泊を除く)

しかし実際は、9割以上が無許可のまま運営していると言われています。これがヤミ民泊です。

「民泊=トラブルになりやすい」というイメージが有るかもしれませんが、実は許可を得ている合法的な民泊からはトラブルが発生する余地は少ないです。

民泊に関して語られているトラブルのほとんどは、ヤミ民泊が原因となって引き起こされているものということになります。

 

業者の宣伝で違法と理解していないまま始める

そもそも、法律では許可が必要とされている民泊なのに、なぜ9割以上も無許可なのでしょうか。

それにはおおきく2つの理由があります。

  1. 民泊の許可の根拠である旅館業法がかなり古い法律だから
  2. 民泊が爆発的に普及している最近できた新しい制度だから

旅館業法は1948年につくられてから、大きな改正をされること無く現在に至ります。ですから現代に合わない規定も多いです。

一方、民泊が日本で流行りだしたのが2014年頃からです。これまでのホテルや旅館とはちがった、もっと気軽な宿泊施設の登場で一気に注目をあつめました。

この60年以上の時間差を埋めるための法律の整備が全く追いつかず、なにか法律的に規制しようとしても、そもそも民泊は旅館ではないため、当初「どのようにも解釈できる」というグレーゾーンを生んでしまったのです。

 

民泊ビジネスの競争激化

グレーゾーンといわれた部分は現在では明確に違法と判断されています。

それにもかかわらず、儲かるらしいという噂で民泊ビジネスが加熱する中、競争も激しくなりました。

「まだまだイケるだろう」「やっちゃえやっちゃえ」というような、法律を守る意識が低い民泊仲介業者や民泊代行業者が多く参入していきます。

 

無責任な広告

インターネットで民泊についての広告は数多く出ているのですが、

  • すぐに始められます!
  • 初期費用ゼロ円!
  • 手間なしで月◯◯◯円の収益!

と、宣伝文句が飛び交う中、ほとんどのサイトでは【民泊には許可が必要です】というような文は見当たりません。あえて触れていないのだと思います。

そのため、「そんなに簡単に始められるんだったらやってみようか」と気軽に始めた人の大半がおそらく、法律に違反している事を知らないままヤミ民泊を営んでいるのです。

 

ヤミ民泊のリスク

無許可営業の罰金

旅館業法では現在、次のように定められています。

許可を受けないで旅館業を経営したものは6ヶ月以下の懲役または3万円以下の罰金

旅館業法10条

 

罰金3万円は現在の状況には見合っていないということで罰則強化が検討され、罰金の上限額が100万円に引きあげられる予定となっています。

ここは賛否両論あるところだと思います。あとで述べますが、根本的な解決にはなっていません。

 

ヤミ民泊への不安

ホテルや旅館では宿泊客が安心して、安全で、清潔な環境で過ごせるように日々努力しています。

旅館業法などの法令や、団体、業界で定めたルールに従って事細かな措置が取られ、徹底的な管理がおこなわれています。このことから、泊まる側からしてみると、儲け重視のやりっぱなし許可のない民泊については次のような不安があります。

衛生面

施設の衛生確保、飲料水や浴槽水の衛生管理が行われないところでは、特定の感染症や、害獣、害虫による健康被害が心配されます。

レジオネラ症、トコジラミなど、宿泊業界では対策必須とされているものもあります。

 

匿名性

宿泊客の身元確認が十分に行われないことにより引き起こされる問題です。

ホテルや旅館では本人確認の手続きが行われ、宿泊者名簿が備え付けられます。

ヤミ民泊ではこれらは省略される傾向があります。なぜなら確認や手続きは面倒くさく、コストがかかるものだからです。利益優先で考えるとどうしてもこの傾向になるでしょう。

自分が誰であるかを名乗らずに済むという「匿名」という状況では、プライバシーが保護される反面、その事を隠れ蓑にして悪事が行われかねないという危険な部分もあわせ持っています。

後日、責任の追求が来ないことを盾に、宿泊施設の破損、騒音、ゴミの問題で周辺住民とのトラブル発生などが考えられます。

さらには怖くて言うのもイヤですが、テロリストや暴力団などの反社会的勢力の潜伏先に利用され、犯罪などの事件に発展するものも十分考えられます。

 

ヤミ民泊対策

これだけのリスクがあるヤミ民泊に、行政が追いついていないのが現状です。

しかし放ったらかしにしているわけではありません。自治体単位で対策プロジェクトチームが組まれ、ヤミ民泊の摘発が強化されています。

京都市の発表によれば、2016年4月から8月に違法な民泊と認められた148件について営業が中止されたとの情報があります。また、全国的にも警察の検挙により書類送検された例もあります。

 

まとめ

先程もいいましたが、旅館業法は遠い昔に施行された昭和の古い法律なんです。そもそもこの古い法律に新しい物を合わせてやるのは既に窮屈な部分があります。時代は変わっているからです。

窮屈すぎる要件を満たすことができず、「それなら違法でもブラックでもいいからやってしまえ」という流れになった結果が、現在のヤミ民泊が9割という状況でしょう。

ヤミ民泊を閉め出すために罰則強化というところですが、それだとさらにバレないヤミを生みだすだけという気もします。北風と太陽の話の原理です。

法律違反を知らなかったというのは通用しないのが日本の法律の大前提ですので、無許可営業は直接民泊オーナーの責任です。そのとき代行業者や仲介業者が罰則を肩代わりして受けてくれるということはありません。

 

民泊には、海外観光客の受け入れ、空き家問題の解決、地方の活性化などの社会的にも大きな可能性が秘められています。この可能性は多くの人たちに広く(金銭的というだけの意味ではなく)利益をもたらすものです。

もちろん個人としても民泊は楽しくて、リーズナブルでワクワクできる体験であることは間違いありません。

しかしヤミ民泊が横行することで一部の人達が儲かるだけで、問題解決にすすみにくいという現状があります。

このため、新法設立や規制緩和など様々な手段を使い、行政や警察がヤミ民泊撲滅の方向に向かっていくことは間違いありません。

もしあなたが民泊の運営をお考えであれば、法律にのっとった方法で始められるかどうかを検討してからでも遅くはないと思います。

法律の整備と民泊の可能性はまだまだ広がるからです。

 

 

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この記事を書いた人

夫婦で行政書士事務所を運営しています。
3児の父です。
家族を連れて、日本各地の民泊に泊まりに行きたいです。

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