民泊がなぜ注目を集めているのか、メリット・デメリットも簡単におさらいしましょう

近年、民泊サービスが脚光を浴びています。これにはいくつかの理由があるのですが、いろいろ絡み合って複雑ですので、初めての方はちょっとわかりにくい状況かもしれません。

ここではそんな初心者の方でもわかりやすいように、民泊の注目の理由と経緯などを簡単にまとめました。

 

目次

民泊に対するニーズ

なぜ民泊が注目を集めているのか、これには大きく2つあります。たくさんのメリットと、その裏にあるトラブルです。

メリットが多くある

民泊は次のようなことに対して非常に有効に働くので、期待が高まっています。

  • 急増する外国人観光客の宿泊施設の確保先として
  • 日本の空き家問題への対策として
  • 人口減少している地方の地域活性化の起爆剤として

これだけのニーズがあることですから、新たなビジネスとしていろいろな企業が注目しました。注目というよりかはもう、熱視線をおくるという状況ですね。なにかもっと民泊に絡めたビジネスアイデアはないかと、日々研究、リサーチがされています。これがメリットと言える表の部分です。

トラブルも抱えている

一方、その裏ではお金儲けにはしり、周りに掛かる迷惑などお構いなしという運営をしている人がいることも事実です。

宿泊客や近隣住民にしっかりとした説明もなく始めるため、一部では夜中にパーティー騒ぎや、ゴミ出しの問題がご近所の苦情を生む原因となっています。

この場合、ほとんどが家主の存在がなく、その苦情の持って行きどころがわからないようになっていて、不満はつのる一方です。こうしたことが全国で多く起こっていることからも民泊は注目を集めてしまっていると言えます。

 

オリンピックを見据えて

外国人観光客の数は年々増加の一途です。2020年に開催される東京オリンピックでピークを迎えると言われていますが、まだまだ現在の状況でも大都市圏を中心に宿泊施設が足りません。

 

現在の制度では旅館業の許可が必要

現在の「お金を払って民家に泊まる」民泊というスタイルは、インターネットの仲介サイトAirbnb(エアービーアンドビー)によって、爆発的に世界中に広がりました。

インターネットを通じて、空き室を貸したい人と宿泊したい旅行者をうまくマッチングしたのです。始まりは2008年頃だと言われています。

現在でも民泊は、それぞれの国のそれぞれの法律に従って運営されているのですが、日本においては昔から旅館業法という法律があります。

民泊は一般的にはこの旅館業法に定められた、簡易宿所営業にあたりますので、民泊を運営する側は旅館業の許可を取らなければなりません。

旅館業法には「民泊サービス」という文言や営業種別はありませんので、少し前まではこのことをさしてグレーゾーンなどと呼ばれていました。

しかし、それは以前の話で、いまでは厚生労働省からハッキリ見解が出ていますので、グレーゾーンということにはなりません。許可を取らなければブラックです。いまでもグレーを言い張るひとはいますが、無許可は違法行為です。

実際には無許可がほとんど

しかしながら、実際には無許可での営業が全体の9割とも言われているのが現状です。

ちょっと考えてみて欲しいのです。9割もの割合で違法行為が行われているのは異常ともいえる状況です。

例えば、食堂にあなたを含めて10人のお客さんがいるとして、あなた以外の人が無銭飲食で逃げ出したらどうでしょう。

あなたはレジに支払いに行く気になるでしょうか。お金を払うのがバカらしくなり、自分も逃げてみようと少しは考えるかもしれません。

みんながやっている違法行為がお金が儲かるのであれば、そちらに流される心理もあると思います。

つまり何が言いたいかというと、そこまで大多数が守っていない法律なのであれば、それは法律の方に問題があるとも言えるのです。

 

合法な民泊

それでは困るということで、政府は法律関係を新しく整備しているところです。

合法的に民泊をするには3つの制度が用意されています。

  1. 旅館業の許可をとる民泊
  2. 国家戦略特区での民泊
  3. 民泊新法にのっとった民泊

簡単に一つずつ説明していきます

1.旅館業の許可をとる民泊

これは上で説明した民泊です。簡易宿所営業の許可を取ればOKです。許可を取ったら堂々と営業を行えます。

しかし、必要となる設備が多く、時間とお金がかかります。また、場所に制限があり、どうしても許可が取れない場合もあります。だったら最初から無許可でやってしまえと言う流れにも行きやすい事実があります。

ですので旅館業法を見直されています。本当に必要な規制とそうでない規制を検討して、現代に沿った内容になって規制緩和の方向です。

これによって簡易宿所営業の許可のハードルは下がります。

 

2.国家戦略特区での民泊

国が指定した国家戦略特区で行う民泊です。指定された地域でしかできないという制限がありますが、旅館業の許可よりは規定がゆるいので、簡単に民泊を始めることが出来ます。

2017年8月現在では、東京都の大田区、大阪府の一部、大阪市、北九州市、新潟市で可能です。

特徴としては最低宿泊日数が決められていて、2泊3日以上の宿泊客しか泊められません。このことで活用しづらい制度となっています。

 

3.民泊新法にのっとった民泊

住宅宿泊事業法(通称民泊新法)が2017年6月に成立しました。実際に施行されるのは2018年6月からとなっていますので、まだ民泊新法での運用はできませんが、これまでの旅館業法よりも随分と要件が緩和されて、民泊を始めやすくなるメリットがあります。

おおよその内容は以下のとおりです。

・住宅宿泊事業者、住宅宿泊管理業者、住宅宿泊仲介業者に対して、届出や登録などの手続き、業務内容、監督などについて詳しく定めた。

・年間営業日数を設けた(180日以内)

・違反した場合の罰則を厳罰化した。
(無許可での仲介サイトを運営、不正な登録をした、名義貸しをさせた。)他人に運行代行をさせた場合には、1年以下の懲役または100万円以下の罰金としました。

民泊新法についてはコチラに詳しい記事を用意しています。ぜひご一読下さい
民泊新法パーフェクトガイド|民泊新法をわかりやすく解説!

 

法整備が過渡期

民泊が注目を集めている最後の理由としては、急速な普及に法律の整備がまだまだ追いついておらず、大きく変化する途中の時期だから。ということが言えると思います。

オリンピックや観光客の呼び込み、空き家の解消への光など、いい面もありますが、その裏では許可を得ない違法民泊やヤミ民泊といわれるものが横行し、周辺住民とのトラブルが絶えないという問題もあります。

また、いろいろな地域からの旅行者が集まるので、テロの危険性や感染症の発生などの安全面も課題です。

これらのことを解決しながら、どのように法律が施行されて、オリンピックを迎えるのか。また、そのもっと先の事(例えば、オリンピックで失敗したから民泊新法は取りやめにします。などの急展開)に、早くから国民が関心を寄せているのです。

是非、安心安全が確保された便利で楽しい制度が作られることを期待します。

 

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この記事を書いた人

夫婦で行政書士事務所を運営しています。
3児の父です。
家族を連れて、日本各地の民泊に泊まりに行きたいです。

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