民泊新法の施行が近づくにつれて弊事務所にもご相談が増えています。
もしかしてこれを読んでいるあなたも何か悩んでいませんか?
3月15日の事前申請受付スタート以降、一番多いご相談は「個人で住宅宿泊管理業を始めたい」というものです。
個人で住宅宿泊管理業
個人で始めたいという理由は色々あると思いますが、ご相談を受ける中では
- 家主不在型の民泊を自分で管理したい
- いま、清掃だけを頼まれている知人の民泊物件を管理したい
- 管理業を取って再委託してほしいと頼まれている
この3つが多いようです。
住宅宿泊管理業の主な業務
ここで住宅宿泊管理業の主な業務を表にしてみましょう。これは国土交通省が出している標準契約に規定する業務の主な内容一覧です。
ゲストへの鍵の受け渡し | 本人確認、宿泊者名簿の作成、管理 | 未チェックインの報告 |
騒音防止などについての説明 | 周辺住民からの苦情や問い合わせへの対応 | ゲストによる住宅への破壊などに対する措置 |
長期滞在者への対応 | ゲストからの鍵の返却確認 | チェックアウト後の状況確認 |
日常清掃業務 | ベッドのシーツ、カバーなどの洗濯 | 備品の管理補充 |
住宅・設備の維持管理 | 非常用照明の設置、災害発生時の避難に関する案内 | 災害時の通報連絡先の案内 |
ゲストからの苦情の対応 | 官公庁への届出事務の代行 | 標識の掲示 |
オーナーへの定期報告 | 帳簿の備え付け・保存 |
業務には24時間体制での緊急時対応や、チェックイン、チェックアウト、清掃業務もあります。個人事業でこれらすべての業務に対応するには、ナカナカ大変ではないかなと思います。個人でもやっていくことは出来るのでしょうか。
方法はあります。というかそもそも、おそらく個人事業に限らず、多くの住宅宿泊管理業の方は全ての管理業務を自社でこなそうとはしていないんですね。
なぜなら、何カ国もの言語対応、24時間スグに駆けつけられる人員体制というのはとてもコストがかかる上、今後管理業務を受託するすべての顧客に対してそれを行うのは責任が重すぎるからです。
やるとしても自社で運営している民泊施設のみの対応というケースが多いのではないかと思います。
ではなぜ、それでも個人で管理業者をやろうと思う人が多いのでしょうか。
住宅宿泊管理業者が近くに存在しない
一つの要因は、住宅宿泊管理業者が近くにいないということがあります。つまり、需要に押されてやってみようとなったということです。
需要が多く、供給も多い都市部
東京・大阪・京都などの観光都市部ではもともと民泊施設が多くあり、それにともなって民泊代行業者もたくさん存在しています。
民泊代行業者はこの民泊新法の施行を機に住宅宿泊管理業に登録するところも多いはずですので、需要(民泊施設)と供給(管理業者)はどちらも多く、競争が始まることはみえています。
まだ民泊にあまり関心がない地方部
一方、少しずつ民泊が浸透しつつある地方では、まだ民泊自体のノウハウがありません。
民泊新法施行前だからという事もありますが、民泊代行業者もほとんどいませんし、住宅宿泊管理業もあまり検討されていないようです。
これは私の感覚ですが、正直言って都市部以外のほとんどの家主さん、大家さん、不動産業者さんがまだ民泊にピンときていません。なんとなく民泊制度が新しく始まるのは知っているけれど、まだ他人事の様子見状態です。
その中でも早くから民泊をチャンスと感じて情報を集め、6月15日を心待ちにしている方もいらっしゃいます。
しかし、情報を集めた先で壁にぶつかってしまうことがあります。家主不在型で民泊を運営していきたい住宅宿泊事業者(オーナー)は、委託先を見つけなければ民泊を始めることができないという、自分の力ではどうにも越えにくい壁です。
そこで解決策として、誰かがそういった地域で住宅宿泊管理業の登録をうければ、民泊が始められなくて困っているオーナーを助けることができます。
もしかするとこの先民泊が一気に普及しだしたりすれば一時的に独占状態となり、大変に大きなビジネスチャンスを手に入れられるかもしれません。
なんでも初めは誰も見向きもしないことから始まった、というのはよくある話ですよね。
と言っても前述のとおりすべての業務を行うわけではありません。また、個人では対応に限界がありますから、次の方法を使います。
委託を受けたオーナーに再委託するという形をとる
- オーナーから一旦、委託を受ける
- オーナーが出来る部分はオーナーに再委託する
- 管理業者(自分)ができる部分は自分でやる(必須)
- その他の部分は全国展開している代行業者を探す
一旦委託を受けてそれをオーナーに返すように再委託するというこの方法は、なんとなく名義貸しのような、グレーゾーンっぽいような感じがするかもしれません。
しかし、大丈夫です。国が運営している民泊制度ポータルサイトの「よくある質問」の中で次のように書かれています。
Q:管理業者への委託業務の一部を事業者が行ってもいいのですか?
A:法律の規定による委託をするときは、住宅宿泊管理業務の全てを委託する必要があり、一部を委託せずに自ら行うことはできません。ただし、住宅宿泊管理業者に委託をした上で、住宅宿泊管理業者の責任のもと、自ら行うことまでを否定するものではありません。
このように、きちんと認められた方法ですので安心してください。
注意しなければならないのは、オーナーは一旦管理業務のすべてを管理業者に委託しなければならないという点です。委託された管理業務は管理業者の責任になります。そのうえで、オーナーに再委託をするという立場でなければいけません。
オーナーの立場では結果的には同じかもしれませんが、最初からコレとコレは自分(オーナー)がやるから、あとの残りは管理業者に委託します、というのは認められません。あくまで委託は一度すべてを丸投げしなければダメだということです。
また、委託を受けた管理業者がそのまま全部オーナーに再委託するのも認められません。それだと名義貸しと同様になってしまいます。
あくまで管理業者は管理をするために存在するわけですから、すべての管理の中の一部(大部分でも一部)を再委託できる事が認められているに過ぎません。
管理業務の自由度が広がる
住宅宿泊管理業者とオーナーの綿密な打ち合わせと、きっちりした契約が必要ですが、民泊施設を預けるオーナーとしてはこの方法を使えば、管理するべき業務の選択自由度が広がります。
反対に、管理業者は色々な代行業者と繋がっておくことが求められます。
オーナーが自分でできること、管理業者ができること、再委託先の代行業者ができることをしっかり把握していければ、大きな資本を持った企業でなくても住宅宿泊管理業者として十分やっていけるのではないでしょうか。
個人での住宅宿泊管理業はこんな人に向いている
まず、住宅宿泊管理業の登録を受けるためには不動産関係の資格が必要です。
具体的には宅地建物取引士、管理業務主任者、賃貸不動産経営管理士の資格です。また、資格はなくても住宅の取引や管理について2年以上の経験があり、それをきちんと証明できればそれでもOKです。
そして、不動産会社での賃貸物件の契約や管理、トラブル対応などの経験があればそのノウハウはそのまま住宅宿泊管理業の業務に活かせます。その経験の中でつくった人脈も今後の強い味方になると思います。
そんな能力を持つひとが、まだあまり注目されていない地方で民泊に参入していったら、ガンガン開拓していけるのではないでしょうか。
まとめると、
- 宅建などの資格を持っている
- 不動産会社での業務経験がある
- リフォーム、清掃などをする業者との繋がりがある
- 民泊の競争が激しい地域からは外れている
このような人はすぐにでも住宅宿泊管理業者の登録をするべきだと思います。
民泊新法はすぐそこまで迫っています。フタを開けてみないとどうなるか分からない状況ではありますが、管理業者登録にも時間がかかりますので、やろうと思う人はすぐに動くことをお勧めします。
是非参考にしてください。