「民泊を始めるには許可がいるって、なんとなく知っているけど。。。いろいろな法律が関係しているみたいで、よくわからない」
そんな風なイメージを持っている人は多いのではないでしょうか。そんなとき、インターネットで検索していると、
「民泊許可物件」「民泊可能物件」「Airbnb可能物件」「オーナーOK物件」という、いかにも良さそうな物件が見つかると思います。
これらをまとめてここでは「民泊許可あり物件」と呼ぶことにしますが、結論から申し上げますと、ほとんどの場合これは法律にのっとった許可ではありません。
ここではこの紛らわしい「民泊許可あり物件」について解説していきます。
民泊に必要な許可とは
最初に、本当に必要な許可について知っていただきたいのですが、冒頭に書きましたように、民泊を運営するには許可が必要です。
教科書通りの表現で申し訳ありません。
国家戦略特区に指定されていない地域では、原則的には旅館業法による旅館業の営業許可を取らなければ民泊を運営する事はできません。
⇒ヤミ民泊のトラブルと旅館業法の営業許可について知っておこう
罰則について
無許可での民泊は違法行為として罰せられてしまいます。国は違法営業について取締を強化していて、今までは罰金の上限は3万円とされてきましたが、改正されて、上限100万円となりました。
罰金で100万円払うならきちんと許可を申請するための設備などに使ったほうがいいと思います。
「民泊許可物件」が指す許可の意味とは
それでは民泊許可物件の許可とは何でしょうか。
これはその物件の持ち主(大家さん)が借り主に出す許可です。
賃貸物件であればいくらお金を払って借りた部屋であっても、大家さんの持ち物です。その部屋を民泊に使うとなれば転貸(又貸し)ということになりますので、大家さんに許可を得なければなりません。この許可がある物件のことを民泊許可物件といって宣伝しているのです。
バレなければオッケーの時代は終わった
又貸しは一般的には法律違反でもなんでもありません。
しかし、住居用の物件というのは通常、文字通り住居として使うことを想定していますから、賃貸契約書には「又貸しもオッケーです」とは書いておらず、「転貸不可」の項目がほぼ当たり前に入っています。
大家さんからしたらあなたに貸したのです。又貸しをするために貸したわけではないのです。
数年前までは民泊自体が今ほど知名度がなかったので、利益優先で、大家さんにバレなければオッケーでとおしていたと思われます。「民泊は法的にはグレーゾーン」という解釈で口コミされていた時代です。
しかしここにきて、違法民泊が引き起こすトラブルがマスコミなどの報道で知られ、マンションの大家さんや管理組合なども目を光らせています。貸している物件でのトラブルや犯罪・事件は起こしてほしくないからです。
もし契約に反して又貸ししていればペナルティで強制退去もあるでしょう。
民泊許可物件の存在意義
もし、あなたが民泊を始めようとする物件が、自分の所有する物件ならこのことは関係ありません。
しかし賃貸で始めたい人にとっては又貸しが発覚することに怯えながらやるより、大家さんがあらかじめ認めてくれていたほうがいい。大家さんがはじめから認めてくれている物件=民泊許可物件ということです。
間違えてはいけないのは、その大家さんのくれた許可は、民泊の営業をする上での法律的な効力は全くもたない、気休め的なものだということです。
まとめ
繰り返しになりますが、民泊を運営するには通常、旅館業法が定める旅館業の営業許可と言うものが必要になります。
いくら大家さんが許可していても、物件紹介サイトが太鼓判を押すおしゃれな部屋でも、無許可営業の罰は民泊運営者に科されます。
じゃあ「許可物件」とだけ書いてあったとしたら、
- 単に大家さんのだした許可なのか
- 旅館業法上の営業許可なのか
どうやって区別するの?と思う方もいるかもしれません。
心配はいりません。もし旅館業の営業許可を取れている物件であれば、間違いなくわかりやすく「簡易宿所営業許可取得済み」「合法許可物件」などのように明記しているはずです。
その許可はそう簡単には取れるものではなく、取れたら他と必ず差別化できる、とても有利なものですから。