弊事務所によくあるお問い合わせで、
「家主不在型の民泊をやりたくて準備を始めたのだけれど、ちかくに住宅宿泊管理業者がいないので、そこから話が進まなくなってしまった」
というものがあります。
住宅宿泊事業法(民泊新法)では、民泊施設には管理者が求められていますので家主不在型では住宅宿泊管理業者の存在が必須です。
私はこのサイトで、不動産業者の皆さんには絶対これから住宅宿泊管理業がいいですよ、とプッシュしていますが、それでもまだまだ地方では登録業者がほとんどいないのが現状です。
住宅宿泊管理業者に適している業種
不動産業者が管理業者に適しているのは、①既に宅建免許を持っているので要件を満たしていることと、②登録申請に必要な書類が大幅免除されていて手間がかからないことが理由です。
しかしここで、不動産業者以外に、もうひとつ住宅宿泊管理業に適している業種があります。
タイトルにもありますが、それは清掃代行業者です。
清掃代行業者とは、民泊の宿泊者がチェックアウト後に部屋に入り、部屋の掃除、ゴミの片づけ、シーツや枕カバー、タオルの洗濯、交換、消耗品の補充などをする業者のことを指します。
清掃代行業者が住宅宿泊管理業者をやるべき理由
私は、清掃代行業者は次のような理由から、住宅宿泊管理業に向いていると思います。
お客さんを見つけやすい、または既にいる
住宅宿泊事業法施行前から清掃代行業を運営していた場合、すでにお客さんがついています。
これから民泊の届出をして再度始めたいお客さんからすれば、元々清掃をお願いしていた業者に管理も頼めれば非常に楽ですよね。
また、今までの実績がありますから、信頼もされていることと思います。
もともと業務が管理にちかい
清掃代行業者はゲストがチェックアウトすると清掃に入るので、オーナーの民泊物件に頻繁に出入りします。オーナーよりも物件のことを知り尽くしているかもしれません。
そんなにしょっちゅう様子を見にこれないオーナーは、防犯が1番気になるところです。
頻繁に出入りしていれば例えば鍵やドアに何か異変があれば、被害を未然に防ぐ事ができるかもしれません。
また、もともと隅々までキレイにすることが仕事なので、細かなことに気が付きやすいというのもメリットです。
色々な住宅に出入りする経験から、オーナーへ役に立つ情報を提供することも可能でしょう。そうなるともう、ただのお掃除屋さんではなくなってきます。管理者としての信頼はあがっていきます。
売上が上がる
清掃業務にプラスして管理料分をお客様から頂くことになりますので、今までよりも売上が上がります。
実際には、清掃業務以は委託されたお客様に再委託という形で業務を返すことになる場合も多いと思います。そうするとこれまでどおりの業務内容で売上だけが増えるのでそのまま利益率があがります。
複数の施設を運営するオーナーと関係ができている場合はそのまま全部受託ということもありますよね。
登録までは少し大変
このように、業務内容はとても住宅宿泊管理業とマッチしている清掃代行業者ですが、登録までが少し大変です。
先程の不動産業者と比べると、宅建などの資格者や、不動産取引の経験者とはそれほど近くない業種ですから、これらの要件を満たす従業員の確保が肝になってきます。
宅建などの資格者を雇い入れる
清掃代行業をやっている現在のメンバーに上記の従業員がいない場合は、雇い入れるということになりますが、管理業登録のためだけにパートやアルバイトでの雇用形態は残念ながら認められません。
正社員だとしても「1週間のうち3日間、午前中だけの就業」というような形態もアルバイトと同様に判断されます。
登録を審査する行政側(地方整備局)からすると、「住宅を預かるという重要な契約をアルバイトに任せるというのは会社としてもリスクが高く、通常考えられないから」という理由です。まったくもっともな理由です。
しかし、実際のところはこれを認めてしまうと簡単に名義貸しが行われるようになり、せっかく民泊新法で作った住宅宿泊管理業者という立場が骨抜きになってしまうことを心配しての見解だと思われます。
ヤミ民泊全盛から抜け出すための管理者制度が総崩れとなっていかないための防波堤です。
まとめ
住宅宿泊管理業者を探しているオーナーは全国にたくさんいらっしゃいます。毎日「住宅宿泊管理業者 一覧」というキーワードで検索して自分の地域の状況を調べています。それほど足りないのです。
とくに地方はこのことが原因で民泊が広がっていっていないように思います。
反対に言うと、今がチャンスだとも言えます。民泊がない地域でも清掃代行業を営む業者さんは多くいらっしゃいますよね。早く始めればその地域で草分け的存在の住宅宿泊管理業者になれると思います。
住宅管理業者は要件さえ満たせばそれ以外の審査はありません。(誰でもとは言えませんが)比較的楽に登録されるものです。オーナーの住宅宿泊事業者の届け出の方がはるかに難易度が高いです。
この記事をよんでくれた清掃代行業者さんが、地域で先行者利益を獲てガンガン稼ぎ出すことをお祈りしています。