意外と多い申請時の共通点|民泊新法と旅館業法を比較してみましょう

このページを見に来てくれたあなたはきっともうご存知だとは思いますが、民泊には大きく分けて3つの種類があります。

  1. 以前からあった旅館業法の許可を取る簡易宿所営業
  2. 国家戦略特区で認可を取る特区民泊
  3. 民泊新法で届け出る民泊

このうち、2.の特区民泊は限られた地域でしかできませんから、ここでは割愛します。

その他の地域にお住まいで、すでに民泊を始めてしまっている方、またはこれから民泊を始めようと考えている方へ質問です。1.の旅館業の許可と3.の民泊新法の違いはなんでしょうか。

おそらくこれもきっと、もうご存知だと思います。一番大きな違いは180日の営業日数制限(民泊新法)と、住居専用地域での営業制限(旅館業)です。

ですので逆に、この記事では、旅館業と民泊新法に共通する部分に焦点を当ててみたいと思います。

これを知ることであなたは、どちらの形態で始めようか悩みながらも、どちらにも対応できるある程度の心構えと準備を進めていくことができます。

目次

旅館業と民泊新法に共通する部分

それでは両方に共通する部分を見ていきましょう。どちらの法律によって民泊をするとしても、これから合法的に民泊をやるのであれば頭に入れておいた方がいい情報となります。

ただし、各地の条例によって異なる部分も出てきますので、予めご了承ください。民泊を始めようとする場合、どんなにインターネットで調べ尽くしたとしても、管轄の保健所、消防署などの役所との相談は必須です。相談に行ってみたら、どこにも書いていないことを言われた!というのはよくあることですから忘れないでくださいね。

 

書類の提出先

どちらも管轄は保健所です。すべての書類が準備できたら保健所に提出します。

旅館業法も民泊新法もどちらを始めるにしても、まずは保健所に相談に行くことになります。そこでどちらの要件なら満たすことが出来るのか聞いてみましょう。

また、後で説明しますが、保健所のあと必ず消防署にも相談に行く必要があります。保健所の職員さんからも説明があると思います。

 

必要書類

住宅の図面

住宅の設備を知るための図面です。風呂、トイレ、洗面、台所などの水回りと、部屋の広さが算出できるように寸法が入っている図面が必要です。

消防法令適合通知書

消防法に適合していますという、消防署によるお墨付きがこの書類です。この名前からもわかるように、その建物が消防法に適合しているという証拠となります。

消防法は建物の火災を予防し、国民の生命、財産を守ることを目的としています。この目的については、建物がどの法律によって民泊施設となるかは関係ありません。旅館業法でも民泊新法でも火災を予防するための措置が必要になります。

建物の構造と不特定多数の人を泊めるという用途によって必要な設備が決まっていますので、旅館、ホテル、簡易宿所、特区民泊、新法民泊もすべて同じ設備が必要になります。

具体的には「5項イ」の防火対象物という分類がされますので、これに適合するように設備を整えなければいけません。

ただし、一つだけ例外があります。民泊新法での家主居住型で宿泊者の寝る部屋の床面積の合計が50㎡以下になるものは防火対象物ではなく住宅扱いとなり、要件が緩和されています。

消防設備

上で説明したとおり、消防法令適合通知書を手に入れるためにどちらも「5項イ」に定める設備をしなければなりません。通常ここが一番費用が掛かるところです。

「消防設備をしようとして見積もりをもらってみたら、どうやら100万円以上もお金がかかりそうだということが分かった。これは予想の倍ぐらいの額だ」

という場合、それだけの投資をしてでもやりたい事なのか、回収できるのか、ダメだった場合には何か他に活用することが出来るか、と考えます。ここは非常に大切なところですから、きちんと調べましょう。

私の意見としては最初はそんなにお金をかけずにやれる物件から始めるのがいいと思います。まだまだ民泊は始まったばかりで、今後の動きをよく見ていく必要があるからです。

逆に、100万円ぐらいなら割とすぐに回収できて、その後も順調にいくということが確信できているのであれば、いい消防設備会社を見つけて、どんどん進めてしまいましょう。この場合は間違いなく旅館業の許可でいくことになると思います。

建築確認申請

民泊を行うには、建築基準法上の用途を変えなければいけません。「住宅・共同住宅」から、「ホテル・旅館」という分類に変わるからです。

さらに用途変更の面積の合計が100㎡を超える場合には建築確認申請の手続きが必要です。お金と手間がかかります。

このことは建築基準法という法律での規制になるので、上の消防法同様に、どの許可や届け出によって民泊施設になるのかは関係なく、すべての民泊に関係のある規制です。

2018.9.20訂正します:住宅宿泊事業法(民泊新法)の届出住宅は住宅扱いとなり、用途変更の必要はありません。

*旅館業許可を取得する場合には用途変更が必要です。

宿泊者名簿の設置

民泊の施設または事務所には宿泊者名簿を備え付けなければいけません。もちろんそこに置いておくだけという意味ではなく、だれが泊まったのかを記録して保存しなけれなりません。

ただし、実際の帳簿を置かなくても大丈夫です。インターネットの技術を使って、動画や映像によって本人確認とともに記録する方法も認められています。

つまり、人を置いて対面で管理するか、ipadなどを置いてそういうサービスを提供している会社と契約をするかのどちらかは必ずしなければなりません。

 

まとめ

いかがでしょうか。

民泊の入り口部分の始め方は旅館業法、民泊新法と2種類あり、それぞれに手続きも違います。

しかし民泊新法は旅館業法を意識して作られていますから、同じような規制の部分もたくさんあります。

また、民泊を含めた「人を泊める事業をする建物」を規制する消防法と建築基準法には適合させなければいけないので同じ規制の下ということになります。

それらはお金のかかる部分、手間のかかる部分が多いのです。

結論としては、もしこれらの要件がクリアーできたのならば、どうせ同じお金をかけるのなら使い勝手のいい旅館業法の許可を取ることを強くお勧めいたします。

民泊新法<特区民泊<旅館業法 という力関係となっており、旅館業法はオールマイティ、最強です。

是非参考にしてください。

 

 

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この記事を書いた人

夫婦で行政書士事務所を運営しています。
3児の父です。
家族を連れて、日本各地の民泊に泊まりに行きたいです。

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