特区民泊|近隣住民への周知はキチンと先に書面で説明しよう

合法民泊といわれる、法律にそったかたちでできる民泊は現時点では4種類あります。それは

  1. 旅館業法の簡易宿所営業
  2. 特区民泊
  3. 農家民宿
  4. イベント民泊

です。それぞれ民泊を開始するまでの要件はあるのですが、特区民泊では独自の要件があります。

それは「近隣住民に周知」です。

特区民泊ではマンションなどの共同住宅でも営業できるので、この要件設定があると思われます。

あなたのマンションの隣の部屋に、いつの間にか毎日のように大勢の外国人が入れ替わり出入りしていたら。。。

いくら迷惑行為はなくても、隣の部屋でいったい何が行われているのか不安になりますよね。

 

目次

説明は義務?

特区での民泊の申請前に宿泊施設の周辺住民に対して、ここで民泊を始めますよとお知らせして説明をする義務があります。

これは国家戦略特別区域法施行令で決められています。

七 法第十三条第一項に規定する特定認定の申請前に、施設の周辺地域の住民に対し、当該施設が国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業の用に供されるものであることについて、適切な説明が行われていること。

国家戦略特別区域法施行令 第十二条

 

 

周知の方法

説明会または戸別訪問またはポスティングで、近隣のみなさんにお伝えしましょう。次の項目を書面にして説明するようにします。

近隣住民への告知の内容

  • 民泊運営者の氏名(法人の場合はその名称、代表者の氏名)
  • 施設の名称と所在地
  • 苦情や問合せを受ける連絡先(担当者、所在地、電話番号)
  • 廃棄物の処理方法
  • 火災などの緊急事態が起こったときの対応方法

 

説明会のやり方

説明会を開く場合は、説明会の案内書と説明資料を作って開催しましょう。

説明会は実際に運営する施設を会場として行うのが良いです。すでにある施設なのでお手軽ということと、参加者にとって民泊のイメージが湧きやすく、親近感を持ってもらえるかもしれません。

 

戸別訪問

近隣住民にあたる世帯に一軒一軒、資料を持って訪問しましょう。

以前、大阪市では「留守のお宅には最低5回は訪問すること」という厳しいルールがありました。とにかく「会って話す」ということが重要とされていたのです。

 

しかし、大型マンションなど戸数が多い施設もあり、さすがに重すぎるルールでしたので、2016年11月に撤廃されました。
認定を受けて民泊に参入するためのハードルが高すぎると、「だったらもう無許可でやっちゃえ」という事が起こり、本末転倒だからです。

 

 

ポスティングでOK

説明会や戸別訪問で会えなかった住民の皆さんに対しては説明の資料をポスティングすることで近隣住民への周知をした、ということが認められます。

会えなかったからと言って再度説明会を開いたり、また個別に訪問したりということはしなくても大丈夫です。

といいますか、ポスティングが一般的で一番効率的な方法ですので、ほとんどの方はポスティングで周知することになると思います。

 

対象の範囲:近隣住民とは

では、周知すると言ってもいったい誰にお知らせしたらいいのか、ということになります。

ここでいう近隣とはどの範囲かということです。

下の図は東京都大田区の例です。

 

 

大田区ホームページより 近隣住民への周知などを行うべき範囲の図説

文章で説明しようとするとわかりづらいですが、簡単に言うと次の住民です。

同じ建物(マンションなど)

民泊を始めようとする部屋がマンションの一室の場合、そのマンションのすべての他の部屋の住民です。

 

隣の敷地の建物

建物の外壁同士の距離が20メートル以内の建物の住人です。通常のお隣さんですね。

 

道路や公園を挟んだ隣の建物

建物の外壁同士が20メートル以内で、敷地の境界同士が10メートル以内の建物の住人です。道路を隔ててもお隣さんということですね。

 

周知した結果は?

それでは、きちんと說明書類を作ってポスティングをしたとして、その後はどうなるかということが気になります。

規則には近隣住民の賛成や反対については書いてありません。近隣住民に賛成・合意してもらえなくてもよいわけです。

これはやや誤解が生じそうな表現なので、あえて極端な言い方で言い換えますと、

「何が何でも近隣住民の皆さんが全員、全会一致で賛成してくれるまで説得してまわらなければならないわけではない」

ということです。しかし、営業を開始するにあたって近隣の住民の皆さんには理解はしてもらいたいものです。

 

住民の反対

賛成してもらわなければならないわけではないですが、仮に住民からの反対が強いと特区民泊の認定がおりないことがあるかもしれません。

近隣からの反対の声があまりにも強いと、トラブルが予想されます。

その程度によってはサービス提供ができない状況も考えられますので、それなら最初から認定をしませんということもあり得ます。

また、認定まではこぎつけたものの、営業していく中でトラブルが絶えないと苦情対応が適切になされていないとみなされ、認定取り消しがされてしまうことも考えられます。

これはつまり、民泊を始める事業者側に問題がある場合です。

 

まとめ

特区民泊では近隣住民への周知を申請前に行わなければなりません。

ただ、始めますよというお知らせではなく、「苦情対応はしっかりやります。なにかあったらすぐコチラにご連絡ください」という事も含めた責任ある周知です。

これをすることにより、近隣住民の不安をとりのぞき、トラブルの元をなくそうという趣旨です。

せっかく認定を受けて民泊という素晴らしい事業を始めるのですから、きちんと説明して、円滑に運営していきましょう。

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この記事を書いた人

夫婦で行政書士事務所を運営しています。
3児の父です。
家族を連れて、日本各地の民泊に泊まりに行きたいです。

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