恐らくあなたは、これまで許可を取らずに民泊を運営してきた人か、許可が必要なのはなんとなく知りながら無許可での民泊を始めようとする人ではないでしょうか。
例えば
「数年前から空き室の期間を利用してAirbnbを始めていて、ほとんど海外在住で法律の整備がよくわからなかった」
というような場合もあります。法律があとから追いついた今では、無許可は違法の扱いですが、そのすべての人を責めるというわけではありません。
しかしここ最近では、無許可で民泊を運営している男が旅館業法違反で書類送検されたというような話題が頻繁にあります。
また、その無許可営業していた男が部屋に隠しカメラを設置して、宿泊者を盗撮していたなんてこともあり、無許可民泊へのイメージが良くありません。このように、迷惑行為を行う者も無許可営業者のなかに含まれていることが多いのです。
無許可の民泊をしている人にしたら、だんだんと肩身が狭くなっている感じることもあるでしょう。
もう保健所の調査に怯えながら民泊を運営するくらいならやめてしまおうか。と考えているかもしれません。
そんな方たちに、実際はその場合どうしたらいいのか、どういう選択肢があるのかを解説していきます。是非参考にしてください。
無許可民泊に悩んだときの選択肢
数年前まではグレーゾーンといわれた無許可の民泊ですが、今は明確に違法と判断されています。
グレーゾーンであれば、知らなかったと言って見逃してもらえるというような風潮があり、またその頃はとても儲かったため、そのまま続けて今まできてしまったという人も多いです。そして少なからず悩んでいます。あなただけではありません。
今後の方針として考えられる選択肢は次の3つです。
- 許可をとる
- 撤退する
- 無許可で続ける
それではいってみましょう。
1,許可をとる
合法化という一番オーソドックスな解決方法です。耳にタコができるほど聞いたかもしれません。教科書通りで申し訳ありませんが、これができれば最高です。
ここでは許可としましたが、あなたが運営する地域が特区の指定があれば特区民泊の認定をとるという方法もあります。それ以外の地域でしたら旅館業法の簡易宿所営業の許可です。
「そうやって言うのは簡単だけど、それが取れないから無許可でやってきたんだよ!」という意見もあると思います。
いま、無許可の民泊が全体の9割を占めると言われていますが、その中には最初から違法行為もお構いなしという意識の人ばかりではなく、
- 許可を取ろうとしたけれど出来なかった
- 買った物件が要件にあっていないことが後からわかった
- 行政に門前払いされて腹が立った
というような個別な言いぶんを持っている方もいると思います。あまりにきつすぎる規制であれば守ることをやめてしまいたくなるという気持ちは、本当にそのとおりです。
しかし、冒頭に述べたように、無許可営業では他の違法行為も行われていることがあるというのも事実です。
行政は許可をとった業者しか把握できず、把握されない無許可の民泊はさらにヤミに向かいます。それでは困るのです。行政はもっと安全安心な民泊を広めていきたいと考えていますので、規制緩和や罰則強化など、どうしたら無許可民泊を無くせるのか、試行錯誤の最中です。
これをうけて実際に今、許可をとる方向で動き出している経営者の方は多いようです。
ただしその際、無許可での営業行為は一旦やめなければなりません。行政は違法営業中と並行した許可の申請を認める訳にはいきません。
もし先々に宿泊の予約が入っていたとしても
「じゃあ仕方がないからそこまでは営業しても良いですよ」
とはならないでしょう。既に予約をしてくれているお客さんに迷惑がかからないスケジュールで合法化をすることをお勧めします。
お勧めしておいて矛盾するようで申し訳ありませんが、許可を取る気になっても取れない場合というのは、残念ながらあります。
あなたの地域が特区指定されている地域でないのなら、マンションやアパートの一室ではなかなか厳しいと言わざるを得ません。その場合は次の方法を選択することになります。
2,撤退する
あなたが運営するその民泊の部屋は、きれいな内装にしたり、おしゃれな家具を置いたりして、ライバルに差をつけ、素敵な写真をアップしてお客さんを集めてきたことでしょう。
撤退するということはその努力を一旦ゼロに戻すということですので、惜しい気持ちはとても良くわかります。
しかし、非合法な状況でビジネスをするのはとても精神的にいいものではありませんし、そういうところにはそういうものが集まる傾向にあるので、予想もしない面倒事に巻き込まれるリスクもあります。
そうなる前に、スパッと潔く撤退するという判断も有効な選択肢だと思います。
物件はその部屋だけではありませんし、まだまだ民泊は可能性を秘めています。
また下記に示すとおり、違法が発覚して刑に処せられてしまってからですと、その後3年間は許可をとることも許されません。
都道府県知事は、前項の許可の申請があつた場合において、その申請に係る施設の構造設備が政令で定める基準に適合しないと認めるとき、当該施設の設置場所が公衆衛生上不適当であると認めるとき、又は申請者が次の各号の一に該当するときは、同項の許可を与えないことができる。
一 この法律又はこの法律に基く処分に違反して刑に処せられ、その執行を終り、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して三年を経過していない者二 第八条の規定により許可を取り消され、取消の日から起算して三年を経過していない者旅館業法3条より
まだ発覚する前であれば間に合います。お金と時間がまた少しかかりますが、おしゃれな家具を他の部屋で活かすことを考えるのは前向きな姿勢だと思います。
3,無許可で続ける
一度立ち止まって考えたけれども、やっぱり無許可で続ける。バレるまで稼げるだけ稼いでやる!というのもあえて選択肢のひとつに入れておきます。それはあなたの自由でもありますから、これ以上私ができることもありません。
激しい戦いは続く
しかし、これまで述べてきたとおり、私はできれば許可は取っていただきたいという立場です。それはこう考えるからです。
今後、規制緩和が進み、民泊新法が施行されることで、ますます無許可民泊への摘発は進んでいくでしょう。行政からすれば「規制をゆるくしたのだから許可を取ってやりなさい」という思いがあります。ある意味見せしめのような取締りもあります。
ライバルの無許可業者たちがどんどんいなくなる中、もしあなたがバレずに続けていければ、残った者としてある程度の甘い汁が吸えるかもしれません。しかし、それも安心できるものではありません。戦いは続きます。
今でもライバルの無許可業者たちは、あなたを蹴落とすために、業者を雇ってあなたの民泊にゲストとして投入し、夜中騒ぎまくって近所からの通報を誘発してきます。密告します。
もうそんな中で戦うのはどうでしょうか、イヤじゃないでしょうか。
まとめ
いかがでしょうか。
現在無許可で民泊を始めてしまっている場合に実質的な選択肢は、許可が取れる立地であるなら許可をとるか、一旦撤退するか、の2択です。
あなたにとってどちらにしても苦しい決断かもしれませんが、摘発されたら失うものはもっと大きいものです。次またやりたくても3年は許可がもらえません。3年の間にはもっと法律も変わっているかもしれないのです。
繰り返しになりますが、身綺麗なうちに許可をとる方向で動き出すのが私の一番のおすすめです。